レオニスの泪





好きなものなんて、もう、何だったか覚えていない。


嫌いなものも、よく、分からない。


あるのは、ただの、何色にもならない毎日。


だから、好きか嫌いかなんて、何も感じない。


笑いなんて、何年も前に封じ込めた。

けど、誰も気付かない。

元から笑ってるような、顔だから。


本当の笑顔なんて、あるわけ無い。

あの頃の笑顔なんて、一体誰が取り戻せる?




僕は。



僕は、大切な人に、笑っていて欲しくて。


ただ、笑っていて欲しくて。


だから、この道を選んだのに。



ー朱李(あかり)


物事に動じない風に見える僕を。

コル・レオニスの持ち主、なんて、君はよく言ったけれど。

今ならわかる?


僕がこんなにも弱いってこと。

脆いって事。


君がいた時、あの星はあんなにいつも側にいたのに。


君が指す方角に、必ず輝いていたのに。


もう長い事。


ずっと、見つけられないでいるよ。



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