レオニスの泪
傷痕
広瀬 朱李(ひろせ あかり)との出逢いは、大学の時。
特別運命的な何かがあったと言うわけじゃない。
医学部に入って5年目の春。
実習や実験が本格的に忙しくなる頃。
たまたま、顔を出したサークルの飲み会に、彼女がいたと言うだけだ。
しかも自分が所属していない、名ばかり天文学のサークル。
要は、星を観る事を建前にして、外でバーベキューしようだの、飲み会をしようだのというサークルだ。
そこの部長と学部は違えど、高校が同じで、たまに食事に行くことがあった。
そのよしみで、無料招待されていた、飲み会。
行かない、と断りを入れておいたのに、頭数が足りないとか意味のわからない事を言われて無理矢理引っ張って行かれた。
桜の散る、頃。