レオニスの泪



「…一番好きな星は?」


特に気になったわけではなかったが、訊かないと失礼な気がして、なんとなく質問すると、朱李の顔がぱっと明るくなる。



「コル・レオニスが好きです。」


即答されたものの、よく分からず、返答に窮していると、察したのか、朱李は申し訳なさそうに項垂れた。



「…知らないですよね、、あはは…」


「ライオンの心臓…獅子座のことかな?」


ラテン語から拾っていくと、朱李はまたぱっと顔を上げた。



「そう!そうなんです!」


あまりの喜びように、訊かずにはいられなくなった。



「どうしてそんなに好きなの?」


だがそれは。


パンドラの箱だった。



朱李がどれだけその星が好きなのか、延々と聞かされる羽目になって、最終的には、気付いた周囲もドン引きする程語り続けた。

良かったのは、このままじゃ次に行っても煽るだけだろうと、一軒目で解散になった事だ。


悪かったのは、何故か僕が朱李を送る羽目になった事。



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