レオニスの泪
朱李と出逢ってから、三度目の春。


桜の花もまだ咲かない日。


寒さが残るその日にも、僕はあのベンチに座って、ぼんやりと木々の葉が揺れる様子を見ていた。



遠くでは、賑やかな声があちこちで響いている。





「やっぱり、ここにいたんですね。」



小枝の折れる音がしたな、と思ったら、直ぐに声がして、見なくとも朱李だと分かった。




「写真苦手だから。」



さっきまでいた輪から離れ、疲れ果てた僕の呟きを、彼女は小さく笑ってから、僕の視界に現れる。



「合格と卒業おめでとうございます。」



「……うん。」



久方ぶりの朱李は、少し痩せたように見えた。



「これからまだ大変だと思いますけど、私応援してます。」


「…うん。」



「それで…えっと…私、、先輩のことが、、、」



段々、朱李の目が湿り気を帯びていく。




「時間がないけど、良い?」



突然の僕の言葉に、彼女はピクリと肩を震わせ、伏せかけた瞳を上げた。



「…そ、そうですよね…すいません…」


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