レオニスの泪


「…ごめんね。もう、帰るから。」


彼女が申し訳なさそうに呟いて、ソファから立ち上がろうとした腕を。



「…わ」



ぐい、と引き寄せて、キスをした。

唇を放して、見つめ合うこと数秒。



「一緒に住む?」



ずっと考えていたことを提案すると、固まる朱李。



「嫌?」


問えば、首をぶんぶん横に振るから。


「じゃぁ、良いの?」


と訊くと、頷いた彼女の目に、涙が溜まる。



「直ぐ、泣く。」



胸の中に収めた彼女の身体は、だってと言いながら、熱を持つ。

いつもそうだ。

朱李は僕のことでは、直ぐ泣いて、子供のように熱を持つ。



それが嬉しいようで、痛々しくもあった。


芯の強そうな朱李が、僕だけに見せる弱さは、何故かとても儚く見えた。
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