レオニスの泪
「何か言ってよ…」
静けさに包まれた病室で、僕は朱李に呼び掛けた。
手紙も、何も遺してくれないで。
僕に何も伝えることはなかったの。
一言もなしに逝ってしまうなんて、君は何て残酷な仕打ちをするの。
「ーつっ」
どうして人は。
これだけ死を繰り返しているのに。
いつまで経っても、慣れないんだろう。
僕から、全てを奪っていったのなら、なんで涙も取り去ってくれなかったんだ。
どうせなら、全部奪っていけよ。
身も心も、涙も、記憶も、全部。
でも。
でも、そのどれも、全て、僕に遺るから。
もう、僕は。
僕は。
僕はもう、君以外愛したくない。