レオニスの泪
幼い子供は、世界を知らない。
じゃぁ、どうやって世界を知るの。
最初はどうやって世界を観るの。
それは、父から、母から、教わるの。
―自分は、慧の世界だ。
そう思ったのは、いつのことだったろう。
なんて大きな仕事なんだろうと、抱えきれるか不安になるのはいつものこと。
親の目が、健全でなければ、世界はあっという間に真っ黒になってしまう。
親が教えなければ、他人が教えてしまう。
歪曲された真実だと、遠回りさせてしまう。
見るべきものと、見なくていいものを、取り違えてしまう。
綺麗な目を、汚してしまう。
ねぇ、慧。
今、慧の目に、世界は何色に映ってる?
ママはあなたに何を見せてあげられている?
あなたにとっての世界に、黒い雨は降っていない?
赤い血でめちゃくちゃになっていたりしない?
ちゃんと、無限で、青くて、光輝いている?
ママの目に、世界はそう見えていないのに、慧の目にはそう映っていて欲しいと願うママは、やっぱり母親失格だね。