レオニスの泪
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「申し訳ありませんでした…」
食器の擦れる音。
機械の回る音。
忙しい音が、遠くに聞こえる更衣室。
ここだけ、切り離された世界のようだ。
私は着替えを済ませて、突っ立ったまま、白衣姿の金森と向かい合っていた。
発作が治まった私を待っていたのは、周囲の困惑との対峙だった。
「この病院に掛かっていたんだったら話してくれたら良かったのに。」
金森はそう言いながら、言いにくかったんでしょうけれどと付け足す。
「正確には、もう、病院には掛かってないんですけど…。最近は少し落ち着いてきたし、大丈夫だと思っていて…でも、結果的にご迷惑をお掛けすることになってしまい、申し訳ありません。」
私は、先程と同じ言葉を繰り返した。
「…精神的な病気っていうことよね。直ぐにどうこうとは言えないけれど…葉山さん、暫く治療に専念した方が良いんじゃない?有給もまだあったでしょ?」
「いえ!そんなことは…私、大丈夫ですから、あの、今日はあれですけど…」