レオニスの泪
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「ねぇ、慧。どこか行きたい所、ある?」
夕飯を作りながら。
畳んだ洗濯物の中、座り込んでテレビと向き合う慧に問うが、夢中になり過ぎていて、聞こえていないらしい。
「ねーえー、けーいー」
フライパンの中では、ピーマンと筍、豚肉が転がって、ジャージャーと音を立てている。
折角の長い休みなのだから、保育所を休ませて、慧をどこかへ連れて行ってあげたい。
それで、慧がどこに行きたいか訊ねようとしているのだが。
返事がない。
仕方ないなぁと、こっそり笑いながら、器に盛り付けた辺りで、慧が、そーだ!と立ち上がった。
「ママ!さいきん、チャルダーマンの青いたおるがないのぉ」
私が声を掛けていたとは露ほども知らない慧は、自分の気に掛かっていた事を、コマーシャル中にぶつけてくる。
「チャルダーマンの?あれ、本当だ。見てないね。」
言われて考えてみたものの、思い当たる節もなく。
「今度探しておくね。」
「うん!」
再び、洗濯物の中に戻る息子を微笑ましく見つめた。