レオニスの泪
そこへ。
ピンポーーーン
家のインターホンが鳴った。
時計の針を見れば、7時になろうとしている所だ。
ーこんな時間に誰だろう。
テレビに夢中の慧の耳には、案の定届いていないようで。
不思議に思ったまま、魚眼レンズを覗くが、誰も見えない。
そしてまた響く、チャイム。
「ままぁ?誰か来たのー?」
流石の慧も気付いて、こっちを振り向く。
「誰だろうね?」
嫌な予感がするような。
さっと寒気が覆い被さるような感覚に襲われているなんて、慧に知られる訳にはいかない。
余裕を装って、微かに震える手で、インターホンの受話器を手にした。
「……はい」
《金森です。葉山さん、迷惑かなと思ったけど、心配で仕事帰りに寄っちゃった。》
ほ、と安堵の息が出たのは言うまでもない。
ー何、びびってんのよ、自分。
弱気になっている心を叱咤して口を開く。
「…今開けます。」