レオニスの泪
「…やっぱり違うのね。木戸さんが言っている医者は実在するの?」
金森の優しい話し方に感謝しながら、私は頷く。
「お付き合いはしているの?」
そして、次の問いには首を振った。
「嫌な話を持ってきておいて、こんなこと言うのは申し訳ないんだけど、落ち着いてね。ただ、木戸さんはそれなりに力を持ってる。私は注意しにきたのよ。ここまでするんだもの。貴女が休んでいる事を知ったら、接触しにくるかもしれない。暫く身辺には気を付けて、何かあったらすぐに連絡して。」
金森が来た時、感じた恐怖が、蘇って、身体を震えさせる。
さっき、もしかしたら、木戸が家まで来たんじゃないかと思って、凍りついた。
その思いが、再び襲う。
それが金森に分からないようにと、身体を抱えるようにして、なんとか抑えつけるけれど、無駄な事のような気がした。
「今夜はこれで失礼するわね。折角の夕飯が冷めちゃったかもしれない、ごめんなさいね。」
私は、ただただ頷いたり、首を振ったりするだけで、上手い受け答えは何も出来ない。
「ああ、そうだ。今日来てくれた貴女の元主治医もー」
私に背を向け、玄関から出て行く間際。
「心配だから、なんかあったら遠慮なく連絡するようにって連絡先くれたから。さっきのどら焼きの袋の中に入ってるからね。」
金森はのんびりした口調でそう言って、ひらひらと手を振った。
金森の優しい話し方に感謝しながら、私は頷く。
「お付き合いはしているの?」
そして、次の問いには首を振った。
「嫌な話を持ってきておいて、こんなこと言うのは申し訳ないんだけど、落ち着いてね。ただ、木戸さんはそれなりに力を持ってる。私は注意しにきたのよ。ここまでするんだもの。貴女が休んでいる事を知ったら、接触しにくるかもしれない。暫く身辺には気を付けて、何かあったらすぐに連絡して。」
金森が来た時、感じた恐怖が、蘇って、身体を震えさせる。
さっき、もしかしたら、木戸が家まで来たんじゃないかと思って、凍りついた。
その思いが、再び襲う。
それが金森に分からないようにと、身体を抱えるようにして、なんとか抑えつけるけれど、無駄な事のような気がした。
「今夜はこれで失礼するわね。折角の夕飯が冷めちゃったかもしれない、ごめんなさいね。」
私は、ただただ頷いたり、首を振ったりするだけで、上手い受け答えは何も出来ない。
「ああ、そうだ。今日来てくれた貴女の元主治医もー」
私に背を向け、玄関から出て行く間際。
「心配だから、なんかあったら遠慮なく連絡するようにって連絡先くれたから。さっきのどら焼きの袋の中に入ってるからね。」
金森はのんびりした口調でそう言って、ひらひらと手を振った。