レオニスの泪

夕飯も早目に作ってしまって、やる事がなくなった。

迎えに行こうかな、と時計に目をやると、3時を過ぎた所で、おやつの時間だろうと思った。

おやつの時間は、中々楽しみなようだから、慧は皆で楽しく食べたいだろう。

そうすると、お迎えは、16時過ぎた辺りが良いかもしれない。

ふと空いてしまった時間。

避けていた時間。

向き合わなければいけない自分から、逃げるようにして1日詰め込んで過ごしたのに。



「こんなんじゃ…会えない…」


テーブルに突っ伏して、冷蔵庫に貼った紙切れを見つめる。

かける勇気なんて、持っていない。

かけた所で、なんて話せば良いのかも思いつかない。

そして、明日が来るのが、怖かった。

神成は精神科医だ。

私が好意を隠せなければ、彼は気付いてしまうだろう。

かと言って、会いに行かなかったら?

土砂降りの中、ベンチに座っていた神成の姿が思い浮かんだ。

私が行かなかったとしても、きっと、彼は待ってる。
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