レオニスの泪
翌日。
緊張した割に、あっという間に過ぎて行った時間。
夜になると、母親の緊張が伝わったのか、慧は中々寝付いてくれなかった。
否。
大人しく布団にころころりと横になってくれてはいる。
暴れている訳でも、騒いでいるのでもない。
ただ、眠っていないだけ。
ー過ぎちゃうな。
洗濯等、雑事に追われつつ、時折、慧と時計を確認して、慌てる。
慌てても仕方がないし、慌てているのを慧に悟られてもいけない。
万が一母親が外に散歩しに行っているという事が、慧に分かってしまったら、それは不安にさせてしまうだろう。
ー仕方ない、か。
雨は降りそうにない。
待たせてしまうとしても、きっと僅かだろう。
ー少し、待っててもらおう。