レオニスの泪

結局、慧が眠ったのは、23時を過ぎた頃。

確認してみたけれど、多分ちゃんと寝てる。
少しだけなら、大丈夫そうだ。

火元は確認済み。

逸る気持ちを抑えつつ、軽く化粧をして家を出た。

晴れた空には、星が幾つか灯っている。

夏より冷えた空気、冬よりも緩みのある空気が、心地良く感じた。

その割に緊張度が高過ぎて、冷静ではない。

公園に近づけば近づく程、鼓動が早くなっていく。


なんて話そう。

なんて言おう。

最初の挨拶はどうしよう。


そんな事を思い悩みながら歩いたせいか、あっという間に公園に着いてしまった。

私の目は、直ぐに人影を捜し、きょろきょろと動く。


が、しかし。


「…あれ?」


ー居ない?


夜の公園。

人気はなくて。

ベンチも、空っぽ。


慌てて中に入って、もう一度しっかり見渡してみるが、人らしき存在はないようだった。

携帯を取り出して、時間と曜日を確かめる。



ー合ってる。水曜だ…


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