レオニスの泪



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慧が寝静まった頃。

アイロン掛けの最中に着たメールを、再び開く。



《少し遅くなるけど、零時過ぎには着くと思う。》


どこに、かが分からず。
はっきりしているのは時間だけ。

ー公園に行ってた方が良いのかな。

今日は水曜日ではないけれど、神成と約束して会うのは公園ばかり。

けれど、朝の一件のせいで、夜道を一人で歩くのは、流石に怖かった。

ーそれともウチの前まで来てくれるのかな。

だとすれば、家に上げることになるかもしれない。

扉一枚隔てた向こうに慧が眠っている。

神成に会って、自分を抑えられるだろうか。
今は一時的に麻痺しているココロ。
何かのきっかけで容易に爆発してしまいそうだ。

爆発してしまったら。
そんな母親を見たら。
慧は一体どう思うだろうーーー


思案していると、掌にある携帯がメールの受信を知らせた。




《着いたよ。家の前》


時計を見ると、0時を5分ほど過ぎた所だった。


ーやっぱり家の前が正解だったんだ。


慌てて家事の為に纏めていた髪を下ろし、上着を羽織る。

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