レオニスの泪


何も求められていない。

神成はただただ優しくて。

私を治そうとしてくれていて。

それに私は甘んじていて。



「駄目だ駄目だっ」


目を瞑って、そんな自分を振り払い、起き上がる。


――仕事を、探さないと。


自立しなくては。

気持ち的なものが落ち着いて、浮き沈みの激しさが正常値になったら、神成とはきっぱり離れて、そして、生きていく。



生きていかなきゃならない。


ハローワークに行ったって、自分の持ってる資格など何一つない。

あるのは、若さだけで、子供がいるから平日も土日も制限がある。突然の病気などにかかれば、予定外の休みだってもらわなくてはいけなくなるし、そうすると雇用条件としてはかなり厳しい。


価値のない自分は、どうすれば、誰かの価値に繋がるのだろう。



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