レオニスの泪





《資格を取ったらどうかな。》


夜になって、神成からメールが届いた。

いつもとは違う時間帯で、きっと今頃、宿泊先でくつろいでいるのかもしれないと思った。

メールは珍しく私から送った。

内容は、お礼と、初仕事を終えた事、とても綺麗でやりがいはなかった事、そして――迷惑をかけないように、新しい仕事を早く見つける、というものだ。

その返事が来たのが、時計の針が零時を過ぎようとしている頃だった。


「資格……って……」


神成は、今のこの時間を機会に、何かしらの資格を取ったらどうかと勧めてきたのだ。


かといって、学校に通う時間や余裕がある筈もない。

神成もそれをよく知っているに違いないのに。



軽く狼狽えていると、まるで、そんな私の反応を見たかのように、再び携帯が震えた。



《調理師、取れると思うよ。受験資格はある筈だから。》



「そうなの……?」


考えた事もなかったが、学校に行かなくても、取れる資格があるのだろうか。


明日、図書館に行って、調べてみようと思いつつ、ありがとうございます、と返信を打つ。


そのまま送信ボタンを押そうとして、ふと手を止め――



《今夜は星がきれいです。そちらも星がきれいに見えますか?》


そう、付け足した。



< 408 / 533 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop