レオニスの泪
《資格を取ったらどうかな。》
夜になって、神成からメールが届いた。
いつもとは違う時間帯で、きっと今頃、宿泊先でくつろいでいるのかもしれないと思った。
メールは珍しく私から送った。
内容は、お礼と、初仕事を終えた事、とても綺麗でやりがいはなかった事、そして――迷惑をかけないように、新しい仕事を早く見つける、というものだ。
その返事が来たのが、時計の針が零時を過ぎようとしている頃だった。
「資格……って……」
神成は、今のこの時間を機会に、何かしらの資格を取ったらどうかと勧めてきたのだ。
かといって、学校に通う時間や余裕がある筈もない。
神成もそれをよく知っているに違いないのに。
軽く狼狽えていると、まるで、そんな私の反応を見たかのように、再び携帯が震えた。
《調理師、取れると思うよ。受験資格はある筈だから。》
「そうなの……?」
考えた事もなかったが、学校に行かなくても、取れる資格があるのだろうか。
明日、図書館に行って、調べてみようと思いつつ、ありがとうございます、と返信を打つ。
そのまま送信ボタンを押そうとして、ふと手を止め――
《今夜は星がきれいです。そちらも星がきれいに見えますか?》
そう、付け足した。