レオニスの泪
――知り合いの店……
自分の知らない神成の事を知っている、プライべートな友人に会う。
神成と二人っきりになることすら緊張するのに、いきなりハードルが上がった気がした。
ましてそこに慧が同席するとしたら、神成は自分の事を何て紹介するんだろう。
精神病のシングルマザー……だろうか。
患者とか?
それはそれでその通りなんだけど、割とショックかもしれない。
【……祈さん?どうかした?】
携帯の向こう側。
呼びかけに一瞬遅れてハッとする。
「…………あ、、いえ、なんでもないです。先生が良いんだったら、私は全然……」
【良かった。じゃ、18時半頃、アパートまで迎えに行くね。】
「あ、はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。」
【うん。そろそろ寝るよね?ごめんね、遅い時間に電話して。】
「いいえ、どうせまだ眠れないですし……」
【……あれから体調どうなの?辛くなったり、今迄と違う痛みを感じたりしていない?】
「はい……ないです……」