レオニスの泪
数分してから、戸締りをして、自分も家を出た。




「―あれ?」



自転車置き場に着くと、そこにいてと言った筈の慧の姿がない。




「もう!何処に行ったんだろう!?」




再び苛々が募り始める。



きょろきょろと周囲を見渡して、慧を捜すが、見当たらない。




―芝生の方かな。




アパートの裏手にある芝生に回ってみても、居ない。


途端に焦り始めてくる。


嫌な汗が背中を伝った。




あちこちに視線を走らせ、自転車に乗って捜せば良いものを、そんな事すら思い浮かばずに、駆けた。




「慧!!!慧!!!!!」




誰かに連れ去られちゃったのかもしれない、とか。


どこかで事故に遭ってるのかもしれない、とか。



嫌な予想がめまぐるしく頭の中で立てられて、ないまぜになる。





「慧!!!!慧!!!!!」




自転車置き場付近も、アパートの近くにも気配がないので、次に広い道路へと向かった。
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