レオニスの泪




「はぁっ…はぁっ…」



今一体自分はどんな顔をしているのだろう。


きっと、必死な顔をしているだろう。




「慧っ!!!??」




見れば小さなシルエットが、歩道をとぼとぼと歩いている。




「っ慧っ!!!」



大声で叫び、それを目指して走った。




「慧っ!」



近くまで来て、慧の腕を背後から掴み、振り向かせると。




「………」




慧の強張った顔と向かい合わせになる。


パシン。


息切れ切れに、慧の頬を叩いた。

勿論、手の力は抜いたが、それなりに慧に響いただろう。




「どうして、待っててって言った場所に居ないの?!居なくなっちゃうの?!」




声のボリュームは下げなければいけない、と思うが、感情がそれを無視した。




「待ってて!って言った場所にね、いれないと何があるかわかんないでしょ!?約束って守れないと大変なことになっちゃうんだよ!!」




「…って…ママが…」



少しだけ赤くなった頬に、ぎゅっとしばった唇。


それを慧が緩めると、いとも簡単に大粒の涙が落ちてくる。



「―何?!」



きつく咎めるような問い方になってしまった私に。



「だっ…て…ママ…が、、時間、、、ない…って言うから……ほいく、、しょまで…ぼ、僕が歩いていけば…す、少しは…あるんじゃないかって…うー…」



慧は、なんとも単純な答えをして、盛大に泣き始めた。


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