レオニスの泪
辺りを見回して、肩を落として、しゃがみ込んだ、彼女はまた一人で泣いているようだ。
――どうして、頼らないんだ。
この人は。
余りに無防備で。
自分を強いと思っている割に余りに脆くて。
心細い癖に、一人きりだと思っていて。
他人を信用しない。
まるで周りは敵かのように見ている癖に、誰よりも周囲を重んじている。
自分自身は、全ての者を大切にしているのに、自分以外の人間もそう思っているとは思わない。
本当に。
本当に、苛々する。
境界線が、高過ぎて、僕はそのどっち側にいるんだろう。
久しぶりに感じた憤りは、誰に対する者なのか。
それは自分へなのか、彼女へなのか。
分からないまま。
『お願いだから、こんな遅い時間にそんな恰好で、一人で外に出ないで。』
薄着の彼女に傘を差した僕はもう、この時に、自分の引いていた線を拭った。
彼女が入ってこれるように。