レオニスの泪
男は本当に無責任。
傷付くのはいつも女ばっかりだ。
女ばっかりが、身体に変化があって、精神的にも負担がかかったりして。
妊娠とは不思議なもので、お腹の中に命が宿った瞬間から自分を犠牲にする生き方の練習をしているような気分になる。
悪阻で食べ物が喉を通らなくなったり。
香りが駄目になったり。
維持していたい身体のラインが崩れていったり。
違和感で夜眠れなくなったり。
自分の摂取するものが、未熟な命を育むものと直結する。
特に自分は。
自分自身も未熟なのに、親になる準備も整わない内から、顔も知らない命の為に、母親となる道を選んだ。
当時は、そこまで大変だとは思わなかった。
尊い命を絶つという選択肢も無かった。
今だって、間違いだとは思っていない。
だけど。
人一人を育てるということは。
想像以上に大変な仕事だった。