レオニスの泪
『伊織は、レオニスみたい。』
『どうして?』
『強いから。』
『僕は強くなんかないよ。』
『そうやって、自分の事を言える人は少ないよ。』
『そんなことないよ。僕は本当に強くなんかない。それにコル・レオニスだって、ライオンだったでしょ。不死身な癖に、あっさり殺されちゃったじゃん。だから強く見せてただけで、本当は弱かったんじゃない?』
『伊織は分かってないなぁ。そんな神話なんか当てにならないよ。レオニスは王の星とも言われてたんだよ。』
『王の星?』
『そう。王の星。王者の資格がある者っていう事。獅子の心臓は、そういう者に与えられるんだって私は信じてる。』
『ふーん。』
『だから絶対。王は人前では涙を流さない。弱さを曝け出したら、民はついてこないでしょう?』
『そうだね。』
『伊織は私を導いて引っ張って行ってくれるから。レオニスの称号を授けてあげる。私の一番好きな星。』