レオニスの泪

「……そうなんですか……てっきり話してるものと。。。神成も……叶うなら、会いに行ったと思います。でも、出来ない理由がある。」



止めた息を吐きだすかのように、久世が呟く。


「朱李は、自殺したんです。」
「――――!?」



重苦しく漂う空気。

この感じは、何故だか初めてではなかった。

久世が纏っている空気も、神成が纏っている空気も、こうしたものが、少なからずあった気がする。

何があるのは分からなかったけど、何かがあるような気はしていた。

何かを隠し持っているような。

仄暗い何か。



――そう、だったんだ……だから……


『僕の大切な人は、もう、何処にもいないから。』



全てが繋がる。
全てが。


神成の持つ、儚さ。

泣いているかのような、横顔。



「俺、神成と大学の同級生なんですけど、あ、それは聞いてますか。その時の天文サークルの後輩が、朱李でした。神成はサークルには入ってなかったけど、そこの部長と高校から一緒で、たまに飲み会とかに顔を出してて……。朱李の方が、神成の事を好きで、ずっと追いかけてた気がします。」


ぽつぽつ、久世は神成と朱李の事を、話し始めた。

長いようで、短い、ふたりの、話。
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