レオニスの泪
直通電車がタイミングよくやってきて、それに乗り込んだ。
呼吸は整わなくて、肩で息をする。
さほど混みあってもなく、座ることが出来た。
端っこの3席のうちの一つ。
景色を観るなんて余裕も、頭もなく、ただただ組んだ自分の手を見つめていた。
空港で、神成を見つけて、間に合うか、なんて確証はどこにもない。
ターミナルはどっちか、なんてことも知らない。
なんの情報もない。
だけど、向かわずにはいられなかった。
――なんで、気付かなかったんだろう。
ヒントになることはいくつもあった。
『虚像の、柱?』
『――僕も、持ってる。』
『あるように見えるのに、決して訪れてくれない希望。』
『叶わないのに、拠り所にしている、支柱。』
精神科医とはなんでもお見通しなんだ、さすがだと思っていた。
私の思考回路なんて全て理解できる。
様々なケースを扱ってきたプロフェッショナル。
だから、こんなにも、私の感情はダダ漏れなのだと。
そう、思っていた。
そしてそれは正しくもあったが、間違いでもあった。