レオニスの泪

『ライオンのように強いものだって、怖いものは怖いんだ。』

『いや、そうじゃないか。周りからは強く見えるだけで、本当は弱いんだ。』

『周りの期待に応えるために、強く見せる努力をしているけど、あるいはもしかしたら自己暗示をかけているのかもしれなけどーライオンだって泣く時が、あると思わない?』


――あれは、私じゃなくて……

泣けないのは、私だけじゃなくて。


『自分はか弱いって、いう人の方が…出来ないっていう人の方が、いつだってそのツケを周りに肩代わりさせていくじゃないですか。自分が一番辛いから大変だからって、周囲の一人一人がどんな思いでやっているのかも知らない癖に。』


私は、その辛さを、よく分かってた。

そして、そんな私を神成がよく理解できたのは。


『……雨の日は、いいね。涙か雨か、分からなくなる。』

『僕も、泣きそうな顔、してる?』


神成自身が、そうだったから。
神成自身が、泣けない人だったから。

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