レオニスの泪
駅から、空港までは30分程で着いた。
夕方、確か17時台の便だと久世から聞いていたので、ギリギリだが時間はまだある。
但し、空港に着いてからが、問題だった。
携帯を耳に当てて、走り回っても、神成らしき人は見当たらない。
搭乗手続きをして、中に入ってしまったら、アウトだ。
ーー落ち着け。
動揺と焦りで、正しい判断が出来ない。
ゆっくりと深呼吸してから、まずはインフォメーションに向かう。
17時台のアメリカ行きを調べてもらおうとするが、アメリカと一重に行っても、沢山の行き先がある。ロサンゼルスなのかサンフランシスコなのかNYなのか、知らない。
途方に暮れそうになるのを表情に出すのを堪えて、とりあえず17時台の便を全て書き出してもらい、それぞれのターミナルを教えてもらうが、確率に賭ける程、知識がない。
――どうしよう、わからない。
空港になんて来たこともないのだから、分かる筈もない。
様々な人種が入り混じるロビーで、気力がなくなりそうになる。
飲食店を片っ端から覗いてみるものの、神成らしき人は見当たらない。