レオニスの泪
「確かに、君は、朱李に似てた。君の言う通り、君を通して、朱李を見ていたのかもしれない。助けられなかった朱李の代わりに、君を助けたかったのかもしれない。」
いつも、診察室や公園で聞いていたように、心地よい声で、神成は言った。
「朱李の最期に、僕は一緒に居られなかった。朱李の最期の言葉も、残された言葉も、なかったから、僕は朱李に何をしてやれたのか、朱李は僕の事をどう思っていたのか、分からずじまいだった。それは今でも。」
後悔ばっかりだ、と、神成は更に小さく呟く。
「だから、自分でも気づかない内に、、いや途中から気付いていたのにも関わらず、君に近付き過ぎて、結局、祈さんを傷つける結果になったんだと思う。――ごめんね。」
相変わらず優しい口調で、神成は穏やかに言う。
それでもそのごめんねを、私は受け取ることが出来なかった。
「そうじゃなくて……」
強く首を振り、違うという意思表示をする。
「謝って欲しいんじゃないんです。」