レオニスの泪
「仕事はしてるの?」
「あ、はい。」
「どんな仕事?」
「あ、えっと…」
仕事、と言われて言葉に詰まった。
正直に答えて良いのか迷う。
「言いたくないなら、言わなくて良いよ。」
それを察したかのように、神成がふわっと笑う。
「さっき言ってくれたような症状が出てから、仕事や生活するのに支障はない?それとも影響してる?」
「え、と。少し。。関係しているかは分かりませんけど、眩暈がしたり、記憶が…たまに飛ぶっていうか…忘れちゃうんです…すっぽぬけちゃって…前はこんなことなかったんですけど。でも、そこまで差し障りがある訳ではなくて…」
神成はうんうんと頷きながら、手を組んだ。
「葉山さんは、その症状について、どう思ってきたのかな?」
―どうって…
なんか、難しい質問だな、と頭の中、思いを一瞬、巡らせる。
「疲れてるのかな、って。毎日結構ハードだし、暑くなってきたから、疲れて物忘れしたり、息が上がったりしてるのかなって思ってました。」
そう言い聞かせてきたのに。
胸が突然苦しくなったのだ。
堪えきれないくらいに。