レオニスの泪

「そっか。それで、発作みたいに出てしまったのか。。そうなるきっかけ、とか…原因になるような事、思い当たる?」



これは、内科でも訊かれた事だが、私は横に首を振る。



「周りの人は?葉山さんの様子に気付いた?」



これにも小さく首を振った。



「家族で気付いた人、居る?」



―慧は、気付いていない。多分。



先程と同じく首を横に振る。



「―そう。それじゃ、その症状がひどくなる時ってどんな時?いつも同じような何かがある、とか状況が似ている、とか、あるかな?」



暫くの沈黙。


私は必死で考え、ちらほらと浮かんだ単語をかろうじて呟いた。




「人が…いっぱい、居るとか…子供の事…考えたり…悪いなって思ったり、する時…?」




自己分析していっているような不思議な感覚だ。


物事を客観的に見ているような気になる。



最近、確かに人が多くいる場所に入っていこうとすると、気が退ける。
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