レオニスの泪
「そうなんだ。しっかりと把握できているみたいだね。そういった症状をこれからどういう風に治療していきたい、とか希望があるなら教えてもらえると有り難いな。」
神成は同意するかのように二度程頷き、更に質問を重ねる。
「特には…できるなら、普通に呼吸できるようになりたいし、ぐっすり眠れるようになりたい…」
わかった、と神成は再び頷く。
「最近以前より疲れ易くなった、ってアンケートに丸してあるね。首とか肩とか、腰とか頭とか痛くなる?」
「あ、はい。以前はここまで疲れなかったと思うんですけど、、体力落ちたんですかねぇ。」
ちょっと残念そうに答えると、神成はまた優しく笑った。
そんなに笑う人間だとは思って居なかったので、さっきから面食らう。
そして、戸惑う。
馬鹿にしたような笑いでは、決してない。
むしろ人を安心させるかのような、微笑み。
それに、まんまとのせられている自分。
「―今度は、もっとプライベートな事を訊いても良い?」
ぼけらっとそのベビーフェイスを見つめていると、その薄っぺたい唇が開いた。
「あ、はい。」
我に返って頷けば、彼は足を組む。
悔しいかな、長い。
「出身はどこ?」
「横濱です。」
「へぇ。良い所だね。」
「ええ、まぁ…」
「どうしてこっちに?」
「親の転勤で…小学校上がる頃に来ました。それからずっとです。」
「ふーん。じゃ、実家も近いんだ?」
「いえ…県内ではありますが、市内ではないです。」
淡々と質疑応答が進んでいく。