レオニスの泪
それから何処の小学校を出て、どの中学に進み、どの高校へ入ったかまで答え―




「それから?」




先を促されて、少し詰まった。




「―子供が出来たのがわかったので、高校を中退して出産しました。」




神成の反応を窺うように見れば。





「そう。頑張ったね。」




別段驚いた風な様子もなく、彼は褒め言葉を口にする。





「それで?その後どうしたの?」



「彼とは結婚しましたが、直ぐに離婚して今に至ります。一応高卒の資格は取りました。」




そう答えると、神成はまじまじと私を見つめた。



「そこ、もう少し訊いても良い?」



「え、そこって…どこ、、ですか。。。」



ぱっちりと開いた睫毛の下にある綺麗な大きな目は、一体何を捕らえたのだろう。


自分の中に緊張が走った。





「どうして離婚したの?」



―そこか。




なんだ、と少し肩透かしを食らったような気になった。




「大したことじゃありません。養ってくれなかった挙句、浮気された。よくある事です。」



自分の人選ミスだ。


見る目がなかった。


若過ぎた。



わかってはいても、良い勉強になったねと言い聞かせるにしては、かなり高くついたと毎度ながら苦々しく思う。




「それじゃ、君は一人でずっと育ててきた訳か。」




神成は腕組みをして、そう呟いた。
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