レオニスの泪
「そ…れは…」
途端に自分の笑顔が引っ込んだのがわかった。
強張る顔の筋肉。
神成の後ろには、少しだけ開かれた窓。
そこから、新緑が見えて、穏やかな風が流れてくる。
「………」
今まで言葉に出来なかった想いが、私の中で葛藤を始める。
吐き出して、外に出ていいの?と。
私はそれを理性で必死に止めようとしている。
だって。
事実、失ったものは。
数え切れない位、ある。
「君だって進路を決めたりしていた筈なんだ。身体のスタイルにだって敏感な年頃だったろう。一番楽しくて何の責任もなくて良い時を、君は失っている。違うかな。」
自分は将来一体何を目指す?
何をして生きていく?
何が得意分野だろう。
そういったもの全てを見定め、やっと決められたあの時。
進もうと思える道を、見出した矢先。
何をしても、楽しくて希望に満ちた日々。
その全てが、ガラガラと音を立てて、崩れたように感じた。
「沢山…」
ぽつ、ぽつ、と。
「本当に、沢山のものを…失いました…」
奪われていったのは、自尊心。