レオニスの泪
「彼は愛情なんて、これっぽっちも感じてなくて…勿論責任感も何にもなくて…。世間体は気にしてましたけど、その内何とも思わなくなったみたいです。」
生活がままならず、夜中のコンビニでアルバイトをしたり、倉庫で働いたりして、その中で高卒認定の勉強を続け、子育てに奮闘した。
「なんで自分だけがって…思った?」
神成の問い掛けに、私は頷く。
「勿論…思いました…何度も、何度も…」
同世代の子達は、楽しく遊んでいるのに。
父親である彼だって、以前と何ら変わらない生活を続けているのに。
どうして、自分だけが。
こんなに苦しい目に遭わなくちゃならないのか。
悪かったのは自分だけなのか。
自分の将来は何色なんだろうか。
いつか世間から忘れられてしまうんじゃないだろうか。
それとも、既に無いモノとされているのか。
「だけど…子供に、そう思わせたくなかったんです…」
我が子が生まれてきたのは、素晴らしいことなのに。
自分のせいで、それを潰してしまいたくなかった。
親の勝手で、本来であれば愛されるべき存在が、疎まれるなんて。
そんなこと、あってはならない、と。
もしそうなってしまったとしたら、息子にとってはとばっちりも良い所ではないか。
大いに関係しているけれど、それは息子にとってはどうにもできない事実なのだ。
大人の都合で命を与えられて、大人の都合でいなければ良かったのに、と決め付けられてしまうなんて。