レオニスの泪
「ご両親は?」
問われて、眼鏡越しの瞳を見返した。
「―両親は…居ますが…頼れる状況にはありません。完全に勘当なので。」
もう何年も会っていない親の顔が浮かぶ。
「兄弟は?」
「妹と弟がいます。」
「親しい友人は?」
「高校の友達とかとは退学してそれっきりなので…特には…」
「―少し、休憩しようか?」
「いえ、平気です。」
早く帰りたいが故に、きっぱりと断るが、神成は首を振る。
「僕は珈琲を飲みたい。君は何を飲む?」
「時間が、ないので…」
ちらりと腕時計を見れば、ここに入ってから30分が過ぎていた。
「息子さんは幾つ?」
神成は立ち上がって、軽く首を回す。
「もうすぐ…6歳になります。」
「じゃあ、来年は小学校?」
「…はい」
「保育園にお迎え?」
「ええ、、まぁ…」
保育所だけど、と小さく突っ込んだ。