レオニスの泪
緩いウェーブを描く茶色い髪と、大きな目。


白くて綺麗な肌は、すべすべとしていて、透明感がある。




―どんなお手入れしたらああなるんだろう。



温かくもないが、冷たくもない缶珈琲を、手の上で持て余しながら、私は神成を観察した。



真っ白な白衣を着た彼は今、缶片手に机に向かって何やら万年筆を走らせている。




「―ご結婚、されてるんですね。」




至極意外そうに言ってしまった後で、失敗したな、と思った。

これでは、観察しまくっている事がわかってしまうな、と。


神成はと言えば、さして気にした風もなく、はた、と万年筆の動きを止め。





「―うん、一応ね」




薬指に嵌めた指輪を視線でなぞった。




「お子さんは―「祈さんがソレ飲み終わったら再開するからね。」」


「え、コレ!?」



家族構成を訊ねようとしたが、被さるように神成が指示を出したので、それどころじゃなくなった。


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