レオニスの泪
何なんだ、この会話は。
精神科とは名ばかりで、珈琲製品に関する意見交換会だったのだろうか。
何やらメモしているし。
「あの、そろそろ本題に―」
「薬は?」
机に向けていた視線を、ツイと外して私を見ると、神成は唐突にも思える質問をぶつけてきた。
「薬は、飲める?」
だが、直ぐに私は理解する。
その薬、が何なのか。
「……飲みたく、ありません…できるなら…」
精神科でもらう薬がどんなものなのか、未知数過ぎて、私は知らない。
でも、余り良い印象は持っていない。
だが、飲まなくちゃいけない、とは思っている。
だからこそ、掌は握り締めて、俯いた。
なのに。
「ん。わかった。」
「へっ?」
予想外の展開に、私は勢い良く顔を上げる。
「ん?」
不思議そうな顔をしている私を、神成も不思議そうに見つめ返した。
「あの、、今、何て?」
「薬飲みたくないんでしょ。だから、わかったって。」
「あ、、はい。」
当たり前のように言われて、返事をするしかなかった。