レオニスの泪
もしかしたら、中高生や学生の溜まり場と化しているかも、と思ったが、街灯に照らされた公園は、静まり返っていた。
4つある内のベンチの一つに腰掛け、ふー、と小さく息を吐く。
泣いた後の目は、どうも疲れる。
瞼を何度かパチパチと閉じたり開けたりさせた。
―そろそろ、行かなくちゃ。
桜の葉がゆらゆらと揺れ、さわさわと音を立てる。
通りぬけていく風は、夏とは思えない程爽やかで、涼しい。
―よし。眠れそう。
すっかり落ち着きを取り戻し、立ち上がろうとした瞬間―
パァン!
「!?」
何かが弾くような音がして、反射的に身を縮込ませた。
―え、何々!?
超恐い、と携帯を握り締める手に力が籠もる。
若干へっぴり腰のまま、樹の陰に隠れるようにして音のした方に目を凝らした。
自分の居る位置からは顔迄は見えないが、今しがた公園内に入ってきたのは、どうも男女のようだ。
「貴方自分が何言っているのかわかってるの!?」
続けて聞こえた声は甲高く、きつく響き渡る。
―ひぇー、修羅場?!
益々小さくなりながら、出て行く事も出来ずに何となくその場に留まってしまう。
悪いことをしているような気分に陥りそうになったが、公共の広場でそんなことやってる方が悪い!と開き直った。