レオニスの泪

「だって…」


神成の表情は変わらない。

いつもと、何ら、変わらない。


だから余計に、腹が立つ。


どこか他人事のようで。



「そうやっていくしか、ないじゃないですか…」


わかってもらえる筈がない。

それが、精一杯なんだということを。


膝の上、丸まっている拳に、更にぎゅっと力が入った。




「ハンカチの形って何かわかる?」


………

……



「は?!」


明らかに場違いで、変な質問に、素で心の声が出てしまった。


まじまじと神成の顔を見つめるが、やはりさっきと変わってはいない。


彼は至って真面目に私に接している。


だが。


「あの…バカにしてるんですか?」


そうとしか思えない。

だって、脈絡がなさ過ぎる。


今度は神成が僅かに眉を上げた。


「いいから。ちゃんと答えて。」


ー全然良くないし!


どうしたって、無駄な質問に思えるからだ。


「…四角、です。」


腑に落ちないが、仕方なく答えると、神成は。


「どうして?」


と更に質問を投げかけてくる。
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