レオニスの泪

ーどうして、って…


真剣に訊かれても、私だって訊きたい。

なんで、ハンカチは四角なんだって。


「知らないですけど…四角い…ですよね?」


訳がわからないだけに、邪険にもできず、若干首を傾げたまま、同意を求めてみる。



「……」


ー何故、無言。


大きな目で、じぃっと見つめられ、私もそれに耐えてみるけれど。


「成る程。」


神成は、おもむろにそう呟いて、自分のズボンのポケットから、今話題のハンカチを取り出した。



ーほら、ほらほら!四角でしょ、それ!絶対四角いでしょ!私合ってるでしょ!


何が正解で、何が不正解なのか、わからないまま、自分勝手にジャッジ。


「これは、何をする道具かな?」


きちんとアイロンがあてられた濃紺に白い線の入ったハンカチ。

それが、フワリ、広げられ、小さな四角から、大きな四角になった。


「手を拭くものです。」


馬鹿馬鹿しいと思う反面、結構ムキになって即答している辺り。

自分は、まだまだ子供なんだな、と思うけれど、抗えない。


だって、腹が立つ。

このやりとりが一体、どうなったら、私の話に繋がるというのか。
< 94 / 533 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop