レオニスの泪
ーどうして、って…
真剣に訊かれても、私だって訊きたい。
なんで、ハンカチは四角なんだって。
「知らないですけど…四角い…ですよね?」
訳がわからないだけに、邪険にもできず、若干首を傾げたまま、同意を求めてみる。
「……」
ー何故、無言。
大きな目で、じぃっと見つめられ、私もそれに耐えてみるけれど。
「成る程。」
神成は、おもむろにそう呟いて、自分のズボンのポケットから、今話題のハンカチを取り出した。
ーほら、ほらほら!四角でしょ、それ!絶対四角いでしょ!私合ってるでしょ!
何が正解で、何が不正解なのか、わからないまま、自分勝手にジャッジ。
「これは、何をする道具かな?」
きちんとアイロンがあてられた濃紺に白い線の入ったハンカチ。
それが、フワリ、広げられ、小さな四角から、大きな四角になった。
「手を拭くものです。」
馬鹿馬鹿しいと思う反面、結構ムキになって即答している辺り。
自分は、まだまだ子供なんだな、と思うけれど、抗えない。
だって、腹が立つ。
このやりとりが一体、どうなったら、私の話に繋がるというのか。