バレない嘘をついてよ。
【梓side】
「澪、待ってよ! 」
私は思いっきり澪の手を振り払った。
「どうしたの? 」
「どうしたのって……。夜神が……」
……夜神が?
私は夜神に何をしたいの?
思わず口にした言葉。
その言葉の続きがわからない。
「夜神は……ダメだよ」
「どうしてよ」
澪の言った言葉に、
なぜかイラつく私。
「夜神は、超がつくほどの問題児なんだよね? そんな奴、危ないじゃないか」
「夜神のこと何も知らないくせに……」
「……あずは、夜神のこと好きなの? 」
澪の言葉に驚き、
うつむいていた顔を上げた。
私が、夜神を好き⁉︎
そんなわけないじゃない……。
「……好きじゃない」
「なら、ほっといてもいいじゃん」
……確かにそうだよね。
澪の言う通り。
けど、なぜかほとっけない。
「どうして? 」って聞かれても答えられない感情が、私の胸の中にある。
夜神のことはキライ。
好きじゃない。
でも……でもっ!