バレない嘘をついてよ。
歩いて行くと、
そこには夜神の姿が見えた。
「やっーー」
夜神の名前を呼ぼうとした時、
私は見てしまった。
夜神の隣にいる人を。
隣に並んで一緒に座り話している。
綺麗な黒髪のロングヘアに、
優しい笑みを浮かべている女の人。
……誰なの?
私が心配する必要なんてなかった。
夜神の隣には女の人がいる。
夜神は大丈夫じゃない。
……バカみたい。
こんなに心配して気にかけていた私。
ーー私なんていらなかった。
そう思った途端、
頬に一筋の涙がこぼれ落ちた。
私は勢いよく、
駅に向かって走っていった。
……バカだ私は。
……大バカよ……。