バレない嘘をついてよ。


「あのさ……」

「何? 」



叶は空を見上げながら言った。




「俺さ、好きな人がいるんだ」

「ふーん……」

「けど、そいつさ俺のことなんか見てくれなくて。つい最近そいつは、付き合ったんだよ」




えっ……それって……。




「俺さ、マヤのことが好きなんだよね」




……やっぱり。
少し感じていたんだよね、あの遊園地の日。




「で、どうするの? 」

「えっ? 」

「このまま片想いでいるのか、それとも……」




叶は黙り込んだ。

多分、今のマヤの幸せを壊してしまうのは嫌だとか思ってるのかな。




「私的には、前田とは別れてほしいけど……」

「何で? 」

「私、中学の時前田と付き合ってたんだよ? 知らなかった? 」




叶は驚いた表情を見せた。



「そうだったんだ……。でも何で? 嫉妬みたいな感じ? 」

「違う。……アイツは最低だから」




だから、マヤと別れてほしい。
もし付き合うなら、叶と……




「梓」




私の名前を呼ぶ声がした。


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