バレない嘘をついてよ。
【梓side】


夜神の笑顔に、
思わず笑みがこぼれた。


仲直りって……小学生以来だな。
私は喧嘩したら、放置するタイプだったからあんまり仲直りってなかった。


だって、いちいち謝ったり,悪かった原因を言うのが面倒くさかった。


今までそう思ってたけど、
仲直りって案外いいものだと今思った。




「うん、ありがとう夜神」

「はいはい。……あれ? 」




夜神は辺りを見回した。




「どうしたの? 」

「いや、さっき一緒にいた連れがいなくなったからさ……」




あっ、そういえばそんな人いたな。
あんまり覚えてないけど。




「まぁ、いっか。佐伯、一緒に帰ろう? 」



と言って、私の手を引っ張る夜神。

でも、嫌じゃない。
今までよりも、ずっと優しく引っ張る夜神。



「私、まだ”いいよ”なんて言ってないよ? 」



ちょっとした冗談を言ってみた。




「別にいいじゃん。嫌じゃないんだろう? 俺の手を振り払おうとしないってことはさ」

「っ……‼︎ 」

「図星か? 」

「ちっ違うし! 」




私は否定したけど笑う夜神。
まぁ、図星なんだけどね。


私は夜神の手の温もりを感じながら、校舎を出て行った。




< 139 / 222 >

この作品をシェア

pagetop