バレない嘘をついてよ。
【一八side】
俺は佐伯の家にいた。
風邪をひいたと聞き、
心配になっ……
いや、ちょっとだけ心配になったから
佐伯の家にいるだけ。
インターホンを鳴らしたけど、
返事はない。
寝てるのか?
ドアノブに手をかけると……
開いてる?
そっとドアを開けるとそこには、
佐伯が倒れていた。
声をかけたが返事はない。
「すげー、熱じゃん」
佐伯のおでこに手を当てると、
凄く熱いことがわかった。
……仕方がない。
こんなとこで倒れているよりは、
まだベットの方がマシだろう。
俺は佐伯を抱きかかえ、
とりあえずまっすぐ向かった。
……コイツ、
結構軽いんだな。
こんなに近くで、
佐伯を見たことはなかったな。
サラサラした焦げ茶の髪
長いまつげ
小さな耳
髪の毛からは良い匂いがして……
変にドキドキしてしまう。