バレない嘘をついてよ。
【梓side】
……あれ?
確か、夜神がバランスを崩して床に……
「っ……‼︎ 」
目を開けると、
目の前には夜神の顔があった。
「……大丈夫か? 」
「うん……」
今、この状態は非常にヤバイ。
だって今、
私は夜神に押し倒されているから。
「頭打ってないか? 」
「えっ? ……あっ」
頭痛くないなと感じてたのは、
夜神が私の頭を手で支えてくれたからだったんだ。
「……ありがとう」
「えっ、あー……うん」
ぎこちない雰囲気。
……ていうか‼︎
「助けてもらったのは、ありがたいんだけど……そろそろどいてくれる? 」
「……ヤダって言ったら? 」
「っ……⁉︎ 」
冗談かと思い、
夜神の顔を見たら真剣な顔をしていた。
ーーそして、
だんだんと近づいてくる顔。
どっ、どうしよう⁉︎
思わず目をつむってしまった。
「……ププッ。バーカ、嘘だっつーの。何照れてんだよ、顔真っ赤だぞ? 」
と、
夜神は私のおでこにデコピンをした。
満面の笑み。
騙された……。
「うっ、うるさい! だいたいアンタが、悪いんでしょ‼︎ 」
私は思いっきり、
夜神の頭にチョップをした。
「いってぇー! 」
「罰よ」
……もう、バカ。
夜神の顔が、
真剣だったから少し本気にしちゃったじゃない。
まだ心臓はドキドキしている。
顔も熱い。
……熱のせいだよ、きっと。