バレない嘘をついてよ。
私はリビングのドアを開けた。
あぁ、最悪だ……。
「……うわっ」
……夜神いるよね。
どうか、
喧嘩しませんように……。
「部屋、随分と変わったね? 」
「へっ? 」
「何か、大人っぽい雰囲気になった。昔と違うなー」
あれ?
夜神は?
部屋の方に目を向けると、
そこには誰もいなかった。
……帰った?
いや、玄関ですれ違ってないし。
どこに行ったんだろう?
「どうしたの、梓。そんなにキョロキョロしちゃって」
「え、あっごめん。今お茶出すね」
でも、まぁ良かった。
これで最悪なシュチュエーションはなくなった。