バレない嘘をついてよ。
「アニキの世代は、陰と光のリーダー同士さ結構仲良かったんだよ。だからもめ事も、あんまなかった。だけど……」
俺はそばにあった水を、
一気に飲み干した。
「アイツが……現れたんだ」
「アイツ? 」
「あぁ……。アイツは、葯伊江 リッカ(やくいえ)。俺のアニキを……深い闇に突き落としたんだ」
そう……。
アイツは最低だ。
アイツこそ真の陰だ。
俺なんかよりずっと、陰のリーダーに向いている。
「その名前、聞いたことある。実際、本当にいたんだね」
「葯伊江は、光側の人間だったんだ。オモテは完璧の善人。けど、ウラは最悪」
「らしいね。人を貶めるのが好きって聞いたよ」
夏木はパスタを口に入れた。