バレない嘘をついてよ。
「キミ、何年生? 」
数歩歩いて彼は言った。
「2年生です」
「へー、同じだね」
「へっ? 」
同じ⁉︎
あれ、この人……
今朝マヤが言っていた人じゃあ……。
「俺、葯伊江 リッカ。よろしくね、佐伯梓ちゃん」
「な、何で私の名前をーー」
「キミは……俺の良いオモチャになりそうだね」
さっきの笑顔とは違う。
怖い……。
「校長室なんて、行き慣れた場所だから本当は知ってたけどキミに会ったなら、声をかけないわけにもいかなくてね」
「何で、私のことをーー」
葯伊江は、
私を壁際に追い詰めた。
「そりゃあ、知ってるよ。だってキミは一八の、大切な人だからね」
「大切な人ってーー、うっ! 」
葯伊江は私の頭を壁に押し当てた。
痛い……
クラクラする……。
「痛い? 痛いよね……ハハッ‼︎ いいね、その顔。それでこそ、俺のオモチャ。あ、このこと一八には言うなよ」
頭がクラクラ……する。