バレない嘘をついてよ。
14
「初めまして、葯伊江 リッカです。よろしくね、みんな」
今日、
葯伊江は私のクラスに転入してきた。
優しい爽やかな笑みを浮かべるアイツ。
よりによって、
何で葯伊江と同じクラスに……。
「梓、案外いい人ぽくない? 」
「そう……かな」
私は曖昧に答えた。
昨日の葯伊江の言葉が、
私の頭の中で響く。
……最悪。
葯伊江とは、
もう2度と関わりたくなかった。
「梓? 」
「え、あーごめん。何? 」
「葯伊江に皆んなビビってたくせに、もう仲良くなってるね。爽やかな雰囲気だし、やっぱいい人だね」
ちらっと葯伊江の方を見ると、
葯伊江の座る机の周りには
沢山の人が集まっていた。
”いい人”
マヤはそう言うけど、
私にはそう思えないよ……。